独自の世界観を変えず、2000年代前半から活動を続けているポストハードコアグループ、Self Defense Familyの最新作”Have You Considered Punk Music”をレビュー。
とは言ってみたものの、このバンドの作品をうまく文章で表現できるスキルが自分にはない。かなり考えさせられる内容だろうことを感じさせるタイトルなだけに、必死で歌詞にかじりついてみたものの、半分語るように歌うボーカルPatの綴る歌詞はとても詩的な表現で、具体的な内容が見えてこない。
アルバムのテーマを象徴しているのは、おそらくタイトル曲の”Have You Considered Punk Music”と、それに続く”Have You Considered Anything Else”。ハードコアシーンに関わる人物や、パンクには括られないジャンルのミュージシャンをあげながら、パンクとは何か、歳を重ねていく自分の人生にどういう影響を与えるものなのか、音楽と自分のメンタルとの関係を抽象的に綴った曲が多い。
内容的にはとても全部理解できるわけではなく、なのに何でこのバンドの作品を聴いてしまうか、それは繊細な楽曲が「美しい」から。海外のサイトのレビューではバンド史上最も暗いアルバムなんて評価がされてるけど、そんなことは関係なくとにかく美しい。
もちろん、インディーロックというジャンルの枠に入れ込むには、余りに不適切なザラつきや不安感が含まれているのもバンドの魅力。忙しすぎる毎日の中で、ふと自分を見失いそうになったとき、この作品を聴いて、うまくまとまらない考えは無理にまとめなくてもいいってことを感じてみるのもいいと思う。