コロナ禍におけるアーティスト活動の救済措置として今年から始まった Bandcamp Fridays を、来年も継続すると Bandcamp が発表しました。
Bandcamp とは
インディーミュージックが好きで、Bandcamp のことを知らない人はいない気もしますが、念のために説明。
Bandcamp は2007年に設立されたアメリカの会社で、音楽ストリーミングプラットフォームを提供しています。
ユーザーから見たときの一番の特徴は、音楽を無料でストリーミング再生できること。海外のインディーアーティストの間では、音源をすべてBandcamp上で再生可能にするのが、もはや当たり前のものとなっています。
アーティスト側は、Bandcamp上でデジタル音源を販売したり、フィジカル音源やマーチを販売することも可能。Bandcamp は、その販売手数料で運営している会社というわけです。
Bandcamp Fridays とは
今回、2021年も継続されることが決まった Bandcamp Fridays とは、コロナ禍におけるアーティスト活動を支援する目的で2020年の3月から始まった取り組み。
毎月の第1金曜日を Bandcamp Friday として定め、通常は15%ほどかかる販売手数料をアーティストに還元するというキャンペーンです。
ちなみに2020年の Bandcamp Fridays は大成功を収め、全部で9回あった Bandcamp Friday に 累計で80万人近くが音源を購入したそうです(参考記事)。
Bandcamp Fridays に要注目な理由
ミュージックラバーとして、Bandcamp Fridays の取り組みに注目したい理由は大きく2つあります。
1つ目は、Bandcamp Fridays に合わせて、多くのアーティストが新しい音源をリリースするからです。まぁ、新しい音源っていっても、さすがにニューアルバムやニューEPってことではなくて、未発表曲やアコースティックバージョン、ライブテイクなどの場合がほとんどです。
でも、Bandcamp Fridays のみしか購入できない、公開しないみたいなことをやるビッグなアーティストもいるので、音楽好きとしては要チェックですよ。
2つ目は、アーティストを応援するチャンスだから。さすがに、自分が払った金額100%がアーティストに入るわけではない(支払い手数料があるので)ですが、それでも90%以上がアーティストに還元されるって、他のサービスを考えたらあり得ないことなんです。
Bandcamp には name your price といって、購入する側が値段を決めて音源を購入できる仕組みもあるので、好きなアーティストが name your price で販売している音源があったら、小額を寄付する形をとることもできちゃいます。
2021年の Bandcamp Fridays はいつからいつまで?
2021年の Bandcamp Fridays は、現在のところ、2/5、3/5、4/2、5/7の4回が発表されています。1月からスタートじゃないところは要注意ですね。
また、今のところは5月までとなっていますが、今年もコロナの状況を受けて途中で延長されたので、来年も延長される可能性は十分あると思います。
ちなみに、Bandcamp では、isitbandcampfriday.com という特設サイトを用意していて、常に次の Bandcamp Friday を確認できるようになっています。
Bandcamp はアーティスト思いの素晴らしい企業
最後に声を大にして言いたいのが、Bandcamp Fridays の取り組みに代表されるように、Bandcamp はアーティストのことをよく考えた素晴らしい企業だということです。
Bandcamp Fridays じゃないときでもデジタル音源やフィジカルの販売手数料は低く、アーティストに多く還元されます。その辺りの素晴らしさを、東京のレーベル 7e.p. さんがまとめてツイートされてたので貼っておきます。
春先にBandcampが他の配信プラットフォームと比してどれだけアーティスト&レーベルに優しいサービスか書きましたが年の終わりにあらためてまとめておきます。
— 7e.p. (@7ep_records) December 16, 2020
唯一、音源が Bandcamp 上でストリーミング再生されてもアーティストに1円も入らないことが欠点だと指摘されることもあります。
ただし、再生ごとにお金が入るストリーミングサービスの場合、1回の再生でアーティストには平均0.01円しか入らないと言われています(参考記事)ので、トータルで考えた時には、やはり Bandcamp の方が Spotify や Apple Music よりもインデペンデントなアーティストに寄り添ったサービスだといえるでしょう。
長々と説明しちゃいましたが、そもそも Bandcamp という企業を好きって気持ちが、そうさせた感じありますね。
デジタルの企業として始まったのに、2019年にはパフォーマンススペースも兼ね備えた実店舗のレコード屋さんをオープンしていて、そういう精神がイケてるよなぁって思います。
あと、最近では、ライブ配信のプラットフォームの提供も発表していて、アーティストのニーズを満たすサービスをスピーディーに提供する感じが素敵だなと思いました。これからも応援していきます!