Hardcore lives, but people will die

Photo from NME

最近モヤモヤしたこと(上の写真に関すること)について、自分の気持ちを整理するために、いろんなリサーチを重ねながら記事にまとめて見ました。

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記事トップの写真は、今年の 4/24 にニューヨークの Tompkins Square Park という場所で行われたライブの様子。Madball、Murphy’s Law、Bloodclot (Cro-Mags や Biohazard のメンバーが所属)、The Capturers の4バンドが出演しました。

公園には2000人を超える観客が集まり、マスクなしでモッシュを繰り広げました。当日のライブ動画もアップされています。

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アメリカがアフターコロナに移行したわけではない

まるでコロナ以前のライブのような光景に、このライブを指して「アメリカではワクチン接種が進んで日常が戻ってきている」といった感想をツイートしている人を見かけました。でも、それは正しい理解ではありません。

確かにアメリカは、コロナのワクチン接種を世界最速レベルで進めています。しかし、流行しなくなるとされる「集団免役」の状態の獲得が出来る見込みは立っておらず(参考記事)、仮に獲得できるとしても最速で6月ごろ(参考記事)と言われています。

つまり、アメリカはまだまだコロナ禍の真っ只中。そんな状況下で、大勢の人がマスクをつけない状態で、ギュウギュウ詰めに集まったというのが今回のショウの実態です。

ライブの開催に対して批判が集まる

というわけで、当然のことながら今回のショウには批判が殺到しました。ニューヨークに住んでいる人たちからの批判はもちろん、世界中のパンク、ハードコア好きの多くも、今回のショウは否定的に捉えているようです。

一方で日本に限っていうと、ツイッターで検索した限りですが、批判ではない意見も結構あるなぁと感じました。(「Madball lang:ja」と検索すれば、日本語で Madball について言及したツイートが出てきます。)

確かにライブ映像だけ見たらテンション上がるかもしれませんが、その背景にあるいろんな状況を考慮していないツイートが多くて、「あ、もしかしたら日本語での情報が足りてないのかもな」と思い、今回の記事を書くことにしました。

批判を受けての出演者の反応

集まった批判に対して、このショウの出演者の一人である John Joseph (Bloodclot や Cro-Mags のメンバー)は、Facebookで反論を述べています。

昨年の Black Lives Matter 運動の際にたくさんの人たちが道路を埋め尽くして抗議していたこと、今年の4/20(weed day)には Washington Square Park に多くの人が詰めかけてマリファナをシェアしていたことに触れ、それらの事象に対して誰も批判していないのに、今回だけ批判されるのはおかしい、というのが言い分のようです。

実際、今回のショウは 、ニューヨーク市消防局の火傷病棟のために寄付金を集めるチャリティーイベントだったようで、”This was our PROTEST (これは自分たちの抗議活動だった)” と自分達の行為を正当化しています。

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明らかになった新たな問題

上の反論を見て、確かにそうかも…と気持ちが揺らぐ人もいるかもしれません。でも、その主張とは別のところで、また新たな問題も明らかになっています。

市民の批判を受けて公園局がショーの調査をしたところ、もともとは「911の追悼イベント」として許可されたイベントだったこと、また「コンサートではなく政治的な集会である」と誤って伝えられたことで許可されたイベントだったことが分かったようです。

もともと5/8には同じ主催者によって、Antidote, Kings Never Die, The Last Stand, Crazy Eddie, The Car Bomb Parade, Reaching Out が出演するコンサートが同じく Tompkins Square Park で行われる予定でしたが、上記の調査結果をもって、開催取り消しとなっています。

Hardcore lives, but people will die

タイトルにもした “Hardcore lives, but people will die”  というフレーズは、今回の件のモヤモヤをどうやって言語化しようか悩んでいたときに見かけて、「あ、これだ」と思ったツイートに書いてあったフレーズです。

This Is Hardcore Fest の創始者として知られる Joe Hardcore が、今回のショウを “Hardcore Lives” とツイートしていたのに対して、見事なカウンターを食らわせていました。

 

今回のショウに対して、いろんな意見があって然るべきです。ただ、個人的な意見としては、今回のショウは自分の好きなパンクやハードコアの考え方にそぐわないと思います。

自分がパンクロックを好きになった要素である知性や倫理観、これが決定的に欠如しています。


 

緊急事態宣言を受けて、いろんなライブイベントが中止を余儀なくされていくゴールデンウィーク。めちゃくちゃ悔しいし、ストレス溜まるし、やり場のない怒りをぶちまける場所があればどんなにいいことやろうって思います。

でも、自分のやるべきことは頭を使うこと。そう信じて一つずつ出来ることから行動に移していきます。

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