NOFXと私

Image from Epitaph

今日からNOFXのジャパンツアーが始まります。最後のジャパンツアー。

ライブを前に感傷にひたるために、自分の人生においてNOFXがいかに重要だったかを書き殴ってみることにしました。

完全に自分のための文章。ライブ終わりにこれを読みながら自宅に向かうため。5年後、10年後、ふとしたタイミングで読み返すため。

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パンクロックとの出会い

中高一貫校に入ったものの家からチャリで10分ぐらいの距離だったもんで通学の途中に遊ぶようなこともなく、小学校の友達とは自然に疎遠になり休みの日に遊ぶ相手もおらず、部活もない退屈な日曜日を過ごしていた高校生のころ。唯一やることと言えば、FM802のOSAKAN HOT 100というランキング番組を3時間から4時間、ヘッドホンをかぶってひたすら聞き続けることだけやった。毎週、ただゴロゴロするだけの休みを毎週過ごす自分の姿を見て、一度父親に「ダラダラ過ごすだけやったら(人生)あかんやろ」的なニュアンスの言葉をかけられたことも覚えている。とにかく退屈やった。

退屈な中でもラジオから得られる情報は新鮮で刺激的やった。まだあまり知られていないアーティストをラジオで知っては、TSUTAYAでレンタルしてMDに焼く。それが唯一と言っていいぐらいの楽しみ。HYはAM 11:00ではなくWhite Beachで、nobodyknows+ はココロオドルではなくススミダス→ で知った。その後に人気になってくるであろうアーティストを、まだそこまで知られていないうちに知れるってことが楽しかった。

そんな中で洋楽にも自然に興味を持つことになる。ちょうどEminemのLose Yourselfが爆流行りしていたこともあって、学校の友達がまだ知らない洋楽を知っておきたいなみたいなことも考えてた気がする。そして、同時期のランキング上位にたまたまSum 41 “Still Waiting”、Good Charlotte “Lifestyle of Rich and Famous”、The Offspring “Hit That” が一緒にランクインしていて、どうやら自分はこういう系の音楽が好きみたいだぞって気づいた、それがパンクロックとの出会い。自分の周りのほとんどの人が、MTVとかでこのあたりの音楽にハマったことを考えると、かなりレアな入りやったと思う。

NOFXとの出会い

パンクロックにハマった頃と、家族共有のパソコンを勝手に使ってよくなった時期が重なったこともあって、ラジオで知ったアーティストの周りをとにかくGoogleで検索しまくった。当時は複数単語を入れながら検索する方法や、英語で検索するスキルみたいなのを持ち合わせてなかったから、「DIY」の意味がわからず苦労したりしたけど、とにかくどんどんパンクロックにのめり込んでいった。

そんな中でターニングポイントとなったのが、近所のニノミヤ電機の閉店。そこにはTSUTAYAが入っていて、それこそ週に1回は立ち寄ってたんやけど、たまたま閉店の時に中古CDの投げ売りセールみたいなのに遭遇して、そこでPunk-O-Ramaの1枚目とFATコンピのSurvival of The Fattestを手に入れることが出来た。スマホなんてもちろんない、ガラケーは持ってたけどパケ代を気にしてネットブラウズなんて考えられないって時代に、どうやらEpitaphっていうのとFATっていうのはチェックしといた方がいいぞって、Amazonのカスタマーレビューリストで得た知識で覚えていて、それでその2枚をゲットできたのって、今考えても奇跡すぎるっていうね。

で、Punk-O-Ramaで一番カッコいいなと思ったのがNOFXの”Don’t Call Me White”やった。それまでに聞いたことのない不安定なメロディー運びやのにかっこいい、とにかく速い、そして封入されていた歌詞カードの解説や和訳で知った歌詞がカッコ良すぎるってことで、しばらく「ドンコーミーワイ」って毎日お風呂で歌ってた。それがNOFXとの出会い。(ちなみに Survival of The Fattestの方で一番衝撃を受けたアーティストがHi-Standardやった。)

人生を変える気がしたイントロ

潰れる前のニノミヤで初めてCDを自分で買うという経験をして、そこで大当たりを引いてしまった自分は、そこからレンタルするということを辞め、ひたすらに中古CDを漁るようになった。今考えると、もっとレンタルも活用していたら、序盤で基本の基本みたいなところを叩き込めたはずやけどとは思うものの、中古CDのディグはとにかく楽しかった。高校生のときはお小遣いが2000円とかやった自分は、購買のパンを買うためのお金として土曜日にもらえる500円をできる限り使わずに残して、それをCDに使うお金に充てがったりしていた。

そしてあるとき、近所のブックオフでNOFXの”So Long〜”、通称3色アイス盤に出会った。値段は750円、今でもハッキリ覚えている。基本250円や500円のコーナーを中心に買っていたし、一つの音源で750円って当時の自分には高すぎる買い物やったけど、NOFXやったら間違いないと思って即買いする。このときの自分の判断、マジで褒めてあげたい。

帰ってすぐに再生して、聞こえてきたイントロのジャギついた音にやられた。冗談じゃなく、あ、これ人生変わるやつだって思った。Don’t Call Me Whiteの音質って実はそんなによくなくて、それでもカッコいいと思えてたんやから、それよりもやかましい音で鳴り響く “It’s My Job To Keep Punk Rock Elite” に興奮しないはずがなかった。今でも当時の興奮を思い出して、普通にゾクゾクできる。体に電流が走るって表現があるけど、まさにそんな感じやった。

人が背中を越えていく

人生初のパンクのライブもNOFXやった。NOFX、Real McKenzies、Western Addictionが来日して、開催ギリギリになってKen Yokoyamaのゲスト出演が発表された Fat Wreck Chords Japan tour 2005 Vol.4。たまたま大阪が日曜日やったから、部活を休むことなく見に行けたんやったよな。当時高校2年生。

ライブのための予習とかいう行為も知らなかったし、そもそも手元にある音源が”So Long ~”とそのほかコンピに入ってる曲ぐらいやったから、予習のしようがなかった。だから、どんな曲やったとか、どの曲が良かったとか、正直全然覚えてない。それでも、このライブで受けた衝撃はデカかった。

自分がカッコいいと思う音楽に興奮している人たちが、こんなにもたくさんいる、そしてその盛り上がり方が自分の知っている世界のものではない。それに食らった。Zepp Osakaの3列目か4列目ぐらいで見てたはずやけど、Ken Yokoyamaが始まった瞬間、自分の肩をぐっと掴んでお兄さんお姉さんたちがどんどん前に向かって飛んで行ったのがとにかく衝撃やった。

ちなみにこの日のライブは、ダブルアンコールでDeclineをフルで演奏したらしい伝説のライブ。当時の自分は終電を気にして帰ったので、目撃できてないです。

言語の壁を越えるシンガロング

自分がNOFXのライブで一番思い出に残っているのは、2009年のWarped Tourで観たNOFX。高校生の頃にパンクロックに出会い無事に人生を狂わされた自分は、大学2年生で単身アメリカに乗り込むほどにのめり込んでいた。正直そこまでメンツはよくなかったものの、当時激ハマりしていたA Day To Rememberが観れるし、そもそも Warped Tourは高校生の頃からの夢の場所だったのもあって、行くことに決めたんやったと思う。

飛行機での往復も含めて5日間という短い日程でのLA旅行にも関わらず、一人でアメリカに来たって心細さから若干ホームシック気味にもなり、全然楽しめなかったこの旅行。Warped Tour自体は旅行の4日目で、これが終わったらあとは帰るだけ。かなり体力的にも精神的にもクタクタな状況やった。A Day To RememberとFishbone以外に特に観たかったバンドもいない中で、はー疲れたなーっていう状態でNOFXを観たんやったと思う。

いつもダラダラとMCが長いけど、この日は特別長いオープニングトーク。登場から体感10分ぐらいはしゃべってたように思う。さすが本場は違うなーみたいな感動はほんの少しだけで、正直疲れていたのもあって、早くやってくれないかなーみたいな気持ちで一人で立っていた。周りを見渡すとほとんどが地元のティーン。みんな5〜8人ぐらいのグループで行動していて、余計に物悲しくなった自分は、MikeとHefeがトークしている間に移動して、どうやらオーストラリアから来たらしい2人組の人の後ろに陣取った。その二人の後ろ姿も、どこか疲れているというか寂しそうに見えたから、そこを選んだんやった気がする。

で、ダラダラトークを突如切り上げて聞こえてきたのは、Linoleumのイントロ。気づけば両目からつーっと涙が溢れていた。さっきまで寂しくて疲れちゃってた自分がこんな楽しい気持ちになっている、初日のハンバーガー屋さんでは言葉が通じなくて辛い思いをしたけど今はこうやって会場のみんなと一体となってシンガロングできている、オーストラリアから来た人たちもさっきまでつまらなさそうにしてたのに今は両手をあげてシンガロングしている、そうやっていろんなことが頭を駆け巡って泣いちゃったって感じやった。

その経験があってからというもの、メロディーの変化が少ないLinoleumのイントロが、自分にとってはかなりエモーショナルなものとして響いてきます。

 

Keep Punk Rock Elite

ライブを控えた3/13の深夜に、久々にNOFXのいろんなアルバムを聴きながらこのブログを書いている。Spotifyで開いた時にたくさんのアルバムがずらりと並ぶけど、アルバムは2009年の”Coaster”以降聞いてないし、そもそもアルバム通して全部口ずさめるような作品もそんなに多くない。

それでもやっぱりNOFXは大切なバンドだし、そういうバンドのライブを観れるのが最後かって考えると、めちゃくちゃ悲しい気持ちになる。そして、自分もいつかパンクロックから離れてしまう日が来るのかもなって気持ちになって、めちゃくちゃ不安な気持ちになる。

でも、いや、自分の人生のテーマは Keep Punk Rock Elite なんだって思い直して、なんとかこの文章を締めくくろうとしている。Keep Punk Rock Eliteをテーマとして掲げて長らく生きてきて本当によかったと思うライブが最後に見れたら、それが本望です。

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