「コロナの時代にIndependent Musicはあり得ない」という記事を読んで

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VICEが運営する音楽メディアNoiseyにて興味深い記事を見つけました。

タイトルは「There’s No Such Thing as Independent Music in the Age of Coronavirus」、翻訳すると「コロナの時代にIndependent Musicはあり得ない」という意味になります。

最初は記事をまるまる翻訳しようかと思いましたが、今ではDeepL翻訳のようなツールを使えば意味の理解は十分できるので、自分が気になったトピックや思ったことをまとめてみることにしました。

ストリーミング時代におけるインデペンデントなミュージシャンの現状

SpotifyやApple Musicのようなストリーミングサービスが普及したことによって、いわゆるインデペンデントなミュージシャン(日本でいうところのインディーズみたいな感じ)の収益はほとんどがライブによるものになったというのがアメリカの現状。

そのライブからの収益もコロナウイルスによって奪われてしまった今、インデペンデントなミュージシャンたちはかなりの苦境に立たされていると。しかもミュージシャンには失業保険も適用されないので、他の職業と比べてもかなり厳しい状態だそうです。

そんな状況を受けて、Don Giovanni Recordsに所属するシンガーソングライターのEvan Greerは、Spotifyに対してアーティストへの還元額を永久に3倍にするよう求める嘆願書を起草。結果として、Spotifyは「Spotify COVID-19 Music Relief」と呼ばれるプロジェクトを発表して、音楽関連の5つの慈善団体に寄付を行ったり、アーティストページから直接募金できる新機能を実装したりといったアクションを行いました。

何も知らずにこのニュースを読むと「Spotifyえらい!」となっちゃいそうですが、この発表を行うわずか数週間前には、AmazonやGoogleなどと結託して、ストリーミングサービスの還元率を増やすことを義務付けるアメリカの著作権使用料委員会の判決に上訴することを発表したばかり。どちらかいうと、「草の根的な運動が巨大な組織を動かした」と言うのが正しそうですね。

ストリーミングプラットフォームはサービスを提供する側だけが”異様に”儲かって、音楽を届けているミュージシャンへの還元があまりにも少ないというのは、これまでもよく言われてきたこと。最も広く使われているSpotifyの場合、1回の再生でアーティストに入る収益はわずか0.3円。1万回再生されても3000円しか入らないと考えると、インデペンデントなミュージシャンがサブスクで”稼ぐ”ことの難しさが分かると思います。

あとNoiseyの記事には、アンダーグラウンドなミュージシャンが有名なポップスターと同じプラットフォームで注目度争いをしても勝てっこないっていう指摘も載っていて、確かになーって思いました。

個人主義から相互依存へ

パンクやヒップホップなどアンダーグラウンドな音楽シーンでは、DIY精神に代表される「個人主義」がクールなものとされてきましたが、ストリーミングサービスが主流となった今は個人主義が分裂につながってしまう危険性が指摘されていました。それよりも「相互依存(interdependence)」が重要になるだろうというのがこの記事の主張です。

相互依存がうまく機能した例としては、上に挙げたEvan Greerやロードアイランド州のパンクバンドDowntown BoysのメンバーであるJoey La Neve DeFrancescoなどが参加するミュージシャンネットワークの組織的な活動が挙げられています。音楽フェスで顔認証技術を使用禁止にしたり、SXSWがアーティストの強制送還でICE(移民に対するひどい仕打ちが指摘されているアメリカの移民・関税執行局)と協力するのをやめさせたりしてきたそうです。

また、コロナ禍においても、自宅でライブストリーミングを行うための機能を提供するWebサイト「Koir TV」を2人のミュージシャンが作ったり、ライブハウスやブッキング会社で働く人たちが自分たちの収入を補うためのGoFundMeキャンペーンを組織的に行ったりと、「相互依存」がうまく機能している例が挙げられていました。

自分の身の回りには、好きな音楽を続けていくために「相互依存」している人たちがたくさんいるので、何をいまさら大それた感じで書いてるんだろうという気持ちにもなりましたが、インデペンデントな音楽シーンという大きな枠組みでは一緒なのに些細な価値観の違いで絶対に交わらない人たちがいるのも知っているので、今後はそういう人たちも包含できる”より大きな目的に向けた大きなつながり”が必要になってくるんだろうなと感じました。

コロナ禍における日本での相互依存

ここからはNoiseyに書かれていた内容ではありません。コロナ禍において、日本の音楽シーンでも「相互依存」と呼べる取り組みが様々行われているよなと思ったので、その取り組みを改めてまとめてみました。

自分が一番最初に知ったのは、大阪のハードコアクルーSMD Crewが立ち上げた”SUPPORT YOUR LOCAL LIVEHOUSE“というプロジェクト。チャリティTシャツを販売して収益をライブハウスに還元するという内容です。

その後、全国のライブハウスのドリンクチケットを事前に購入できるプロジェクト”Save The Livehouse“や、toeのメンバーが主宰した数々のミュージシャンたちによるライブハウス支援プロジェクト”MUSIC UNITES AGAINST COVID-19“など、次々と相互依存的な取り組みが行われています。

そして、営業自粛に伴う助成金給付を求めたプロジェクトSaveOurSpaceから始まった”SaveOurLife“のムーブメントは、まさに自分が理想的だと感じる”大きなつながり”そのものです。まだプロジェクトの存在を知らない人がいたら、コチラから内容を読んで、賛同できたら署名して欲しいです。

 

結局何が言いたいのか分からない記事になってしまいましたが、Noiseyの記事はとても興味深かったので、ぜひ一度読んでみて欲しいです。ストリーミングサービスや音楽への接し方について、改めて考え直してみるキッカケになると思うので。