
メロディーだけじゃなくて、歌詞もいいんかい!
フィラデルフィアのIndie Punkバンド、The Menzingersが今年7月にリリースした8作目のアルバム。そのタイトルトラックにしてラストを飾る楽曲 “Everything I Ever Saw” の歌詞が良すぎたので、紹介します。
最初にこの曲を聴いたときの感想は、「サビでエモいことを歌ってるっぽいけど、なんかしっくりこない」でした。というのも、”I don’t want to relive, I just want to remember” という気持ちが向かう対象物が全く思い浮かばなくて。この違和感については、以前投稿したThe Menzingersに関するブログ記事でも触れています。
I don’t want to relive, I just want to remember
Yeah Yeah Yeah Yeah Yeah
I don’t want to relive I just want to remember
Everything I ever saw
ただ共感できなかった理由は単純で、 “Yeah”×5のパワープレーすぎる歌詞に挟まれながら繰り返し登場する “I don’t want to relive, I just want to remember” を、それだけで完結した一文だと思い込んでいたから。
歌詞サイトでちゃんとみて、ようやく気づいたんです。relive(追体験)はしたくない、でも remember(覚えて)いたいもの——それは Everything I ever saw、つまり「自分が見てきたもの全て」に係っている。それが分かった瞬間、歌詞の良さが一気にゾワゾワと体に染み渡りました。
「別にその当時に戻りたいとか、同じような体験をしたいわけじゃない。でも、せっかくここまで生きてきた過程があるんだから、目にしてきたものは全部覚えていられたらいいのに。今こうして驚いたり、感動したりすることも、そのうち忘れてしまうって考えると、なんて切ないんだろう。」
特に子供が生まれて以降、同じような気持ちを抱いたことが何度かあって、共感を伴ってブッ刺さったんです。
で、歌詞の良さに気づいたのとほぼ同時ぐらいのタイミングで、Instagramのストーリーに、あるポッドキャストの情報が流れてきて。
それが、Talkhouse Podcastっていう番組で、The MenzingersのGregが、The Gaslight AnthemのBrain Fallonと話してるって内容でした。おそらく、The Menzingersのアカウントがシェアしてたのかな。
Brainが「Everything I Ever Sawってタイトルが最高なんだけど、何について歌ってるの?」と切り出したあとでGregが語るのは、Thanksgiving Dayのディナー後の恒例行事の話。
家族や親戚が30人ぐらい集まって、みんなでホームビデオを観るらしいんやけど、そこで93歳になるおばあちゃんが、ちょうどGregと同じ年齢のころの自分を見つけて「これ見て!」とかめちゃくちゃ嬉しそうにしてたらしくて。
で、それを見て、「自分も93歳になったときにこうありたい、だから全て覚えておきたい」って思ったのが、タイトルトラックが生まれた秘密って語ってて、なんて素敵すぎるエピソードなんだって体中にゾクゾクが走りました。
あと、ノスタルジーに浸るだけのバンドにはなりたくないってコメントしてるのも、すごく良くて。
結成20周年を迎えて、これまでのキャリアを全部覚えていたいって気持ちを持ちながらも、次の20年に目を向けるためにはどうすればいいだろうって考えたらしくて、それも”Everything I Ever Saw”という曲にこめられているとのこと。
それを受けて、地元の先輩である The Bouncing Soulsの名前をあげて、彼らのライブにはいつも勇気付けられると答えた Brain Fallon も含めて最高。来年は The Gaslight Anthemの結成20周年イヤーらしく、それを祝って来年一緒にツアーしようよって冗談半分に語ってたけど、ぜひとも実現させてほしいし、何より、まだまだ最前線でアクティブに活動するミュージシャンでいて欲しいです。